Ohno Tax Management Office Monthly Report VOL.30  

2006/02/07発行人・大埜治仁                by Ohno Tax Management Office 


 これだけは知っておきたい!!「会社税務の基礎知識」 No.18

平成18年度自民党税制改正大綱より184月以降

役員報酬・賞与について大幅な見直しが行なわれます。

今回の改正は、経営に直結するのでそのポイントを解説します。

平成18年度自民党税制改正大綱より

1.役員給与に係る定時定額要件を緩和

来年度改正(18年4月以降施行予定)では、新会社法施行(18年5月以降施行予定)に伴ない、これまで、定時・定額での支給以外は、認定賞与として、損金不算入とされてきた役員賞与について、その要件が緩和されます。

これは、新会社法が、役員賞与や株主配当などの利益処分について、従来、定時株主総会において行なわれるとされてきたものが、随時可能となるとする法改正を予定していることから、税制についても、大幅な見直しが行なわれた模様です。


 具体的には、「利益を基礎として算定される給与以外の給与のうち、確定した時期において確定した額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与」の損金算入を認めるとしている(平成18年税制改正の要綱:H18.1.17閣議決定)。

 現在、役員に対する給与のうち、一月以内の期間を単位として定期的に同一額を支給するものについては、役員報酬として損金算入が認められているが、今回の見直しは、その範囲を拡大して、従来は、役員賞与として損金不算入とされていた部分の金額についても損金算入を可能とするものだ。

 要件等の詳細は、改正法案の国会提出以降に明らかとされる模様であるが、恣意的な適用を排除するため、制度上も事前に何らかの要件を付すことが考えられている。

2.同族会社の役員報酬のうち給与所得控除相当額の損金不算入について

 法人の支給する役員給与について、次の見直しを行う。
(1)同族会社の業務を主催する役員及びその同族関係者等が発行済株式の総数の90%以上の数の株式を有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占める場合等には、当該業務を主催する役員に対して支給する給与のうち給与所得控除に相当する部分として計算される金額は、損金の額に算入しない。

ただし、当該同族会社の所得等の金額(所得の金額と所得の金額の計算上損金の額に算入された当該給与の額の合計額)の直前3年以内に開始する事業年度における平均額が800万円以下である場合及び当該平均額が年800万円超3,000万円以下であり、かつ、当該平均額に占める当該給与の額の割合が50%以下である場合は、本措置の適用を除外する。

この改正によって増える税金のシュミレーション

前提条件
(1)この規定が適用されないとした場合の法人税の課税所得をゼロとする。
(2)法人税の実効税率を40%とする。
(3)当該法人が課税される要件にすべて合致したとする。

役員報酬 年間   800万円の場合 増税額は 80万円

役員報酬 年間 1,000万円の場合 増税額は 88万円

役員報酬 年間 1,500万円の場合 増税額は 98万円

本来課税所得がゼロならば法人税は課税されないが、この法律が成立すると上記の通り法人税の納税額は増える。

Q  家族の役員報酬が合計で1500万円 法人所得が赤字300万円でも法人税の支払いが発生するのですか??

A  ご家族の方々が「業務を主催する役員」に該当するとします。
さらに、そのご家族をお二人として、役員報酬を1,000万円と500万円と仮定します。

給与収入1,000万円の場合、給与所得は780万円です。
給与収入500万円の場合、給与所得は346万円です。

この給与所得を算出するために給与収入から差し引かれる金額が、「給与所得控除額」で、例題の場合合計で374万円になります。

この金額を損金不算入にするということは、374万円が法人の課税所得に加算されると言うことになります。

ですから、この規定の適用前の法人所得が赤字でも、適用されれば74万円の法人所得が発生し、これに法人税が課税されます。

当然、翌期以降への繰越欠損金(例題の場合300万円)は無くなります。

コメント

同族会社で、法人の所得平均額が800万円(平均額が年3,000万円超であり、かつ、当該平均額に占める当該給与の額の割合が50%以上である場合も含む)の会社は、役員報酬のうち給与所得控除相当額の損金不算入されることになるので、対策が必要です。

対策 従業員持株制度などの制度を導入し、株主構成を見直してなんとか適用除外にもっていく

 同族会社の業務を主催する役員及びその同族関係者等が発行済株式の総数の90%以上の数の株式を有し、かつ、常務に従事する役員の過半数を占める場合等という要件から、株主構成を見直して、特別決議の可能な発行済株式の総数の3分の2(75%)以上を同族株主で確保し、残りの3分の1(25%)を従業員など同族以外の者に持たせる。

 会社の支配権に大きく影響するので、従業員持株制度や議決権のない優先配当株式などの活用により、社長一族の支配権を確保しつつ、従業員の会社への帰属意識をたかめる方法が考えられます。

3.いわゆる業績連動型役員報酬の損金算入(非同族法人に限る)

 法人がその役員に対して支給する利益を基礎として算定される給与のうち、非同族法人が業務を執行する役員に対して支給する給与で、当該事業年度において損金経理がされていること、算定方法につき報酬委員会における決定等の適正な手続が執られており、かつ、有価証券報告書等で開示されていることその他の一定の要件を満たすものの額は、原則として、損金の額に算入する。


 

 

※なお、この法案は、今国会で提出され審議される予定の為、現段階では、未確定ですが、法案が通れば、今年4月以降施行される予定の為、中小の同族会社にとっては、大きな影響が生じることが予想されています。