Ohno Tax Management Office Monthly Report VOL.31

2006/02/21発行人・大埜治仁               by Ohno Tax Management Office

これだけは知っておきたい!!「会社税務の基礎知識」特集    No.19

平成18年度 新会社法(185月以降施行予定)のポイント

1.決算公告が義務化
2.株式会社に移行するか、そのまま有限会社として存続するか
3.
確認会社はどうしたらいいか

これまでの商法が改正され、新会社法として、昨年6月29日、国会で可決成立いたしました。平成18年5月から「新会社法」が施行予定となっております。今回は、施行を控えて、どうすべきなのか、そのポイントを解説いたします。

【会社法改正の概要】

現在
の会
社法
体系

株式会社

有限会社

合資会社

合名会社

【新 設】

最低資本金

1000万円以上

取締役3名以上

監査役必置

最低資本金

300万円以上

取締役1名以上

無限責任社員と有限責任社員が混在

無限責任社員
のみにより構成

 

 

新しい「株式会社」

合資会社

合名会社

合同会社

株主の責任:有限責任
取締役1人以上

無限責任社員と

有限責任社員が

混在

無限責任社員

のみにより構成

内部的には組合
外部的には有限責任

取締役会の書面決議可能
決算公告義務あり
取締役・監査役の任期最大10

 

社員1名での
設立可

社員1名での
設立可

最低資本金制度の撤廃

Q1.新法では決算公告が義務化されたとのことですが、当社のような零細企業でも公告しなければならないのでしょうか?

Point

@   株式会社であるからには(有価証券報告書提出会社でない限り)、必ず決算公告が必要となる。

A    特例有限会社については、会社法施行後も決算公告義務はないこととされる。

会社は、定時総会後に遅滞なく決算公告をしなければなりません(会社法440@)。ただし、臨時計算書類に係る決算公告制度はありません。

◆1◆改正の内容

現行法においても決算公告について、株式会社には義務付けられていますが、有限会社には義務付けられていません。会社法施行後に有限会社の設立は認められないため、現行の有限会社のような人的な零細企業に対しても一律に決算公告が義務付けられることになります。

図1 決算公告の改正ポイント

【現行法】                                                                                    【会社法】

会社の種類

決算公告

 

会社の種類

決算公告

株式会社

必要

 

株式会社(有価証券報告書提出会社以外の会社)

必要

株式会社(有価証券報告書提出会社)

不要

有限会社

不要

 

特例有限会社

不要

合名会社・

合資会社

不要

 

合名会社・合資会社・合同会社

不要

図2 有価証券報告書提出会社以外の株式会社

会社の種類

公告方法(注1)

官報又は日刊新聞紙

電子公告

右記以外

電磁的開示(注2)

大会社(注3)

B/S,P/Lの要旨

B/S,P/L

中小会社(注4)

B/Sの要旨

B/S

なお、有価証券報告書提出会社(≠公開会社)は、EDINET等により詳細なディスクローズがなされているとの理由から、決算公告が不要とされました(会社法440C)(図1参照)

◆2◆決算公告が不要な零細企業とは

既存の有限会社については、定款変更による正式な株式会社への変更を行わない限り(整備法45)、「特例有限会社」として存続します(整備法2)。この場合、すべての株式会社に決算公告を義務付けるとする会社法440条の適用が除外されるため(整備法28)、決算公告は必要ないことになります。

特例有限会社にはいくつかのメリットがありますが、これもその一つといえます。なお、会社法施行後に設立した株式会社は「特例有限会社」となることはできないため、決算公告義務を必ず負うことになります。

◆3◆決算公告が義務付けられた場合の取扱い

有価証券報告書提出会社以外の株式会社について、その規模区分や公告方法と公告内容の関係を整理すると、図2のとおりです。

なお、決算公告を怠った場合には、取締役、会計参与、監査役、会計監査人等は100万円以下の過料に処されます(会社法976二〜四)。


(注1)会社の公告方法は定款の任意的記載事項であり(会社法939@)、登記事項となる(会社法911B二十七〜三十)。また、会社が公告方法を定款に定めない場合には、官報が公告方法であるとされる(会社法939C)。

 (注2)B/S(大会社にあっては、加えてP/L)の詳細版を、定時総会後5年間、ホームページ等で公開する方法である(会社法440B)。「電磁的開示」は決算公告のみホームページ等を利用するものであるのに対して、「電子公告」は決算公告以外の公告もすべてインターネット等で開示する方法である(会社法940

 (注3)前期末貸借対照表上の資本金が5億円以上、又は負債合計が200億円以上の会社(会社法2六)。

 (注4)大会社以外の会社


 Q2.現在は有限会社ですが、株式会社に移行するか、そのまま有限会社として存続するか、迷っています。どうすればよいでしょうか?

Point

B     既存の有限会社は、株式会社への移行の手続きをとらない限りは、特例有限会社として存続する。

C     特例有限会社として留まることのメリットも少なくないため、積極的に(たとえば営業政策上の理由から)株式会社化する方が得策であるケースを除き、通常は特例有限会社として存続することになろう。

現在有限会社である会社は、会社法の施行後は「特例有限会社」という名の株式会社として存続することになります(整備法2@)。その場合であっても、所定の手続きにより株式会社へ移行するオプションが用意されていますが、小規模企業に適した有限会社的な機関設計としての取締役会非設置会社に移行すべきか、特例有限会社のまま留まるかの選択を迫られることが考えられます。株式会社への移行手続きをとらない限り、会社法施行後は特例有限会社として存続することになります。

取締役会非設置会社と特例有限会社の比較を総合的に検討して、いずれが良いかを判断することになるでしょう。


(注1)この他にも株主総会関係の手続(整備法14)や監査役選任に関する監査役の同意等(整備法18)、取締役が複数の場合の各取締役への委任禁止事項・内部統制システムに関する事項の決定・取締役の報告義務(整備法21)、帳簿閲覧権(整備法2326)、監査役の業務監査権限(整備法24)、計算書類等の設置場所(整備法28)、休眠会社のみなし解散(整備法32)、清算時の精算人会・監査役の設置・株主による精算人解任請求(整備法33)、特別清算(整備法35)に関して特例有限会社に特有のルールが整備されている。

(注2)株式の一部又は全部が譲渡制限株式である会社をいう。

(注3)株主資本等変動計算書や注記表が想定される。


Q3.「1円法人」の特例で会社を設立しましたが、会社法施行後はどうすればいいのでしょうか?

Point

  D  いわゆる確認会社は、その設立後5年内に増資をして、株式会社であれば1,000万円以上、有限会社   であれば300万円以上の資本金としなければ解散するとの定款規定が設けられている。

  E  この定款規定を会社法施行後に廃止すれば、上記の資本金額に満たない会社であっても、株式会社   又は有限会社として存続することができる

資本金額が最低1円であっても株式会社や有限会社を設立することができる、確認会社(いわゆる1円会社)が、「1円起業」ができる!ということで話題になったのは記憶に新しいところです。

この確認会社ですが、いわゆる中小企業新事業活動促進法における特例として、最低資本金を1円とする確認株式会社の設立が現在でも認められていますが、「創業者」であることを要すること、設立後5年内に資本金を1,000万円以上に増資する必要があること等の制約があり、会社法の施行をもってその存在意義を失することになります(整備法447)。

では、既に(会社法の施行前に)確認会社を設立してしまっている場合には、どのような取扱いになるのでしょうか。

この場合、確認株式会社であれば最低資本金1,000万円、確認有限会社であれば最低資本金300万円を満たすべく設立後5年内に増資を行うことが考えられます。それが難しいときには、設立後5年を経過した段階で会社解散とされてしまうのが原則ですが、取締役会設置会社においては取締役会、非設置会社においては取締役の過半数の決議により(定款変更を行って)解散を回避することができます(整備法448)。


()会社法施行後については、定款変更(解散事由の抹消)をすることにより既存の会社形態での存続が可能となる

()会社法施行後については、定款変更(解散事由の抹消)をすることにより既存の会社形態での存続が可能となる