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平成14年1月1日発行「寺門興隆 1月号」掲載論稿 http://www.kohzansha.com/backno0201.html 
  
「月刊 寺門興隆」すべての住職・寺族の新しい実用実務情報誌 http://www.kohzansha.com/  
                                            
「宗教法人における住職の葬儀費用と埋葬に関する税務調査」   
 法人税法基本通達について東京国税局の解釈をめぐって
---亡くなった住職の墓碑の建立費用はなぜ息子の給与と認定されたのか?----
                 
東京地方税理士会 神奈川支部所属  税理士 大埜治仁     

この案件は、国内既存の仏教寺院における歴代住職の葬儀、埋葬ないし墓地に関する税務上の扱いについて、これまで、ほとんど公表される機会のなかった法人税法基本通達の解釈についてその判断基準を今回、東京国税局が明らかにしたものとして、注目すべき見解がなされたという意味で、当該調査対象となった横浜市内某寺院の代表役員たる当山住職の了解のもとに、今後、他の寺院へ及ぼす影響も多大であろうとの判断から、執筆・公表するものである。

1.経緯  
去る11月28日、横浜市内所管の某税務署において、二ヶ月ほど前から続けられていた税務調査にあたり懸案となっていた宗教法人への課税問題について、東京国税局法人課税課より示達があった。 今回の調査は、一般にいわれるところの任意調査であり、いわゆる巡回調査として、所轄税務署職員により行なわれた。 宗教法人の調査といえば、そもそも、主たる事業目的が宗教活動であることから法人としての課税は法人税法上公益事業として非課税扱いであり、専ら本来の事業以外の税法上規定されている33種の収益事業を営んでいる場合におけるその事業に対する調査か、あるいは、住職やその家族の報酬・給与についての源泉所得税について、その非違が対象となることは、ご存知のかたも多いと思われる。 したがって、今回の調査も、通常通り、この点が焦点となって、葬儀や彼岸・施餓鬼などの法要収入を過去帳と照合し、それらにまつわる宗教活動支出が適正に行なわれているか否か、金銭出納帳や通帳の出入りを証憑書類や案内状と照らし合わせてそれらの事実確認作業が行なわれた。また、既存寺院であるからには、ほとんどの寺院がそうであるように寺墓地を所有していることから、その現況確認も行なわれた。

私は、開業してまる13年になり、これまでも、宗教法人の調査については、幾度となく立ち会ってきたが、ほとんどすべての調査が、2日の予定で、上記 の流れで行なわれてきた。今回も、法要収入と過去帳の照合がおこなわれたが、当該寺院は、ほとんどすべてのものの記載があったためお陰様で、あまり問題は、発生しなかった。ただ、若干、不明箇所があったのだが、住職の記憶をたよりに何とか無事に説明がなされた。

読者の皆様には、過去帳を公表することは、宗教上の守秘義務に抵触されることとなるものとして、かなりの抵抗ないし抗議をされるかたもおられると思われるが、この際は、調査官は、その常套句として、「われわれにも職務上の守秘義務があります。」との口上で、また、調査拒否にあたるとの指摘から、結局は、開示することとなるのが常である。 この点は、私の立場からすれば、税務職員の職権として、国税徴収法により質問検査権が付与されていることから、宗教法人法で課せられている守秘義務に抵触するかの判断は、法律上のバランスの問題であり、税務調査官がその職務を遂行するには、必要な資料提供であることに鑑み、あるいは、憲法に規定されている国民の納税義務から敷衍斟酌しても、課税庁の言い分に分があるあるといわざるを得ない。
 
とくに、読者諸兄には、調査官に対する対応がスムーズにすむように過去帳にも、備忘記録として、特記事項は記録されておいたほうがベターであろう。

2.住職の墓碑建立のための費用が否認に?!  
今回、最も焦点となったのは、冒頭でも触れたように先代住職が昨年他界したことから、その葬儀にまつわる収支や永代供養料ならびに歴代住職の墓地に埋葬した際の墓碑の扱いをめぐって、税務署との見解が対立した点である。今回の調査も二日目になり、一応の帳簿類の調査が一段落すると調査官から、先代住職が去年他界されたことを聞き及び、ご他聞に洩れず歴代住職の墓を見たい旨の申し出でがあった。 

当然のことではあるが、宗教法人ことに既存の仏教系の寺院にとっては、寺院建立以来、何百年もの歴史を有している寺院がほとんどであり、それに応じて、各寺院には、歴代住職の墓が、寺墓地のなかでも特別の場所に建てられているのが、通常であろう。  当該寺院も同様に歴代41代の住職の墓が所定の敷地内に所狭しと建てられており、古いものでは、元禄・文永・天保など江戸時代からの墓碑数多く見受けられた。もっとも、天災で滅失したり、他の寺に
移設されたりしたものもあったが、少なくとも二十基は優に超える数はあったと思われる。

住職に案内されて、墓参すると墓前には、すでにその日のうちに檀信徒の誰かが献花したであろう生花と線香がお供えされていた。 調査官は、「先代の住職の墓はどれなのか」、「それは、いつ建てられたのか」等々いろいろと質問し、墓碑の裏に回って建立の日付の確認やらいろいろと調べはじめた。 そして、「歴代住職は、すべてここに安置されているのか」、「家族の墓はどうなっているのか」等々立て続けに質問を浴びせてきた。 どうやら住職の墓とその家族の墓が別にあるのが問題であるらしい。盛んにその埋葬の状況について確認を求めてきた。 読者諸兄もそうであろうが、当山住職も、歴代住職の墓とその家族の墓は別に設営されており、当山住職は家族のものとは別に、代々、この歴代住職の墓に収められてきたのがしきたりであるとの認識から、当然、先代住職が納骨されている墓のために要した費用は、法人の経費であり、公益会計上の損金として処理すべきものと考えていた。

しかしながら、今回、調査官の指摘するには、それは、個人のものであり、法人として損金扱いすべきではないとの全く相反する見解であった。  ここ数年、私のクライアントにも先代住職が亡くなって世代交代するお寺さんが増えてきた。同時にそれに呼応するように交代後しばらくして、税務調査が入った事例も増えている。 ここで、よく質問されるのだが、「当山は、この十数年来調査など入ったことがなかったが、今回の調査は、世代交代がきっかけなのでしょうか?」ということである。しかし、当の調査官に尋ねても、「必ずしも、そうではない。」とお茶を濁されるのみである。

もとより、一般に行なわれる税務調査は、任意調査と呼ばれ、礼状により強制立ち入りを伴う強制調査とは質を異にするものであることは、ご存知の方も多いと思う。また、今般、所轄税務署の組織改革の一環として、これまで、@優良申告法人、A準優良申告法人、B周期対象除外法人、C巡回接触法人、D継続管理法人と五段階に区分管理されていたものが、第一グループ、第二グループ、第三グループと三段階に改められた点は、ご留意されたい。

税務調査は、こうした、直接的な臨席調査のみならず、われわれが申告した内容や取引先からの資料箋、法務局や金融機関などからの報告その他諸々の情報が所轄税務署の資料情報化に寄せられそれらの情報が分類整理されて、問題ありとされるものについては、書面による机上調査という形で、納税者の目の触れないところでも、日々行なわれているのである。  あるいは、それが、税務通報(平たく言えば「密告」)も、税務調査の重要な情報源とされる。

実地調査は、これら机上調査がなされた上で、稟議されて行なわれる。したがって、これら税務行政の遂行上機密を保持することも国家公務員としての税務職員に課せられた義務(守秘義務)であることから、上述のような質問には、答えられないのが調査官の立場でもあることも了解されよう。

3.調査官の指摘
さて、これまで、先代の住職が亡くなり世代交代したお寺の調査は幾度となく立ち会ってきたが、これまでは、せいぜい葬式費用について、個人分に相当する費用を住職の認定賞与とされる旨の指摘を受けたが、その際は、香典収入との対応関係から経費按分する必要があり、一千件以上もある香典袋の山を整理して金額を提示するよう求めたところ結果として、否認は見送られたという過去の調査立会いでの実績から、それ以上踏み込まないものと鷹を括っていたものの、今回ばかりは、先代住職の墓石の扱いまで、踏み込まれてしまった。

今回の調査においては、調査官のみの判断が難しいことから、担当部門の統括官が自らその説明にあたったため、二回にわたり当山住職とともに税務署に直接出向くこととなった。 今回、現住職の給与として認定賞与として、指摘された処理は以下のとおりである。
@ 先代住職の葬式費用 A 本山への永代供養料 B 先代住職の墓石購入並びに施工費用これらは、すべて現住職の給与(正確には役員賞与)税務上、法人の損金への算入を否認されると同時に源泉徴収の追徴を受けることとなる。もっとも、前者、法人の損金算入否認については、あくまで、公益事業にかかるものである以上、宗教法人が
公益法人であるが故、非課税であるため課税上の問題はない。

これに従い、当方は、葬式費用については、法人税法基本通達9−7−19「社葬費用」の「法人が、その役員又は使用人が死亡したため社葬を行い、その費用を負担した場合において、その社葬を行なうことが社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。(注)会葬者が持参した香典を法人の収入としないで遺族の収入としたときは、これを認める。」との扱いを準用することとした。

当該通達に関する解説として、逐条解説には、次のような説明がなされている。「ここでいう「社葬を行うことが社会通念上相当」かどうかは、死亡した役員等の死亡の事情、生前における当該法人に対する貢献度合等を総合勘案して判断することになるが、「従って、通常は、会葬のための費用がここでいう社葬のために通常要する費用として認められるということであろうと思われる。以下、省略」
 
4.税務署の回答
上記通達を当方が提示したところ課税庁から、以下のような回答があった
@ 先代住職の葬式費用について
上記通達を準用し、「社会通念上相当と認められるときは、その負担した金額のうち社葬のために通常要すると認められる部分の金額は、その支出をした日の属する事業年度の損金の額に算入することができるものとする。」とのことから、基本的には損金算入が認められた。したがって、現住職個人への認定賞与はなかったものとして、源泉所得税について追徴課税は免れた。

また、香典収入についても、基本通達にある注記とは逆に、香典収入を法人の収入としてみとめる一方、それに対応する香典返しは、香典収入の範囲内のものである限り、法人の費用として処理することが認められた。ちなみに、故人の相続も私が扱ったが、課税失格として申告はしないですませたという経緯があった。ここで、仮に相続税の申告があった場合、香典収入および香典返しは相続税法上の対象外となるが、葬式費用は、相続税法上相続財産から控除されることになっているが、これは、本来、相続
財産から負担した部分が、控除されることになる点、留意されたい。

A 本山への永代供養料
逐条解説にあるように「「社葬のために通常要すると認められる金額」の判断については、例えば密葬の費用、墓石、仏壇、位牌等の費用、さらにいわゆる院号を受けるための費用など明らかに故人の遺族が負担すべきであると認められる費用は、これに該当しないと解すべきであろう。」との解釈からも、また、当山住職以外にも、壇信徒のなかでも、希望者があれば本山への供養料を収めることは吝かでないことからも、当方としては、否認を受けるにあたり反論の余地はなかったので、これについては、税務署の言い分を受け入れることとした。

B 先代住職の墓石購入並びに施工費用
上記解説の中でも揚げられているように、墓石の購入並びに施工のための費用も「明らかに故人の遺族が負担すべきであると認められる費用は、これに該当しないと解すべきであろう。」とのことから、当初よりの調査官の主張が、より強調されることとなった。しかしながら、納税者たる当山住職は、この件については、A本山への永代供養料とは、内容的に異なり、「明らかに故人の遺族が負担すべきであると認められる費用」であるとは、認めがたい旨の主張をした。どう考えても、歴代住職の墓は、他の家族とは別にあり、代々の住職は皆そこに納骨されるのが、因習として、当然のものである。自分も死んだあとは妻や母、兄弟とは同じ墓には入れないものと信じて今日まできたわけである。 葬式費用についても、税務署は、認めたのに何故に墓地は認められないのかと調査官に抗議することとなった。

5.東京国税局の判断
上記主張の為、統括官を通じて、東京国税局による判断が求められた。この回答があるまで、優に1ヶ月半、その間、何度も担当調査官が来山しては、国税局への答弁のための資料と称して墓地の写真を撮ったり、葬式費用の明細を収集したりしていった。ようやく、結論が出され最終の答弁をしに税務署へ向かったのは、最初の調査の日からまる2ヶ月を経過していた。前掲@Aについては、国税局も同様の見解として、当方でも異論なきこととして、今回は、受忍するところとなった。

ただし、Bについて、さらに、国税局としては、 C 寺の教義ないし寺院規則により、歴代住職の埋葬および墓地の建立についての扱いが明確に謳われていること。あるいは、責任役員会ないし総代会等寺院の決議機関において、その旨の決定をしていること。D 歴代住職の墓が信仰の対象として、定期的かつ継続的に壇信徒を集めて墓前において、供養する儀式がおこなわれていること。
が適用要件である旨の判断基準が提示された。

まず、Cについて、当山では、特に教義にも寺院規則にも、そのような規程はなく、また、相当の機関決定における記録(もっとも、死亡退職金および弔慰金の支給については、相続の段階で機関決定をし、議事録の作成は、相続税対策の一環として指導ずみではあったのだが)として、当該議事録も作成していなかった。

 また、当初われわれ民間人が知りえた判断材料としては、前述の「「社葬のために通常要すると認められる金額」の判断について
は、例えば密葬の費用、墓石、仏壇、位牌等の費用、さらにいわゆる院号を受けるための費用など明らかに故人の遺族が負担すべ
きであると認められる費用は、これに該当しないと解すべきであろう。」との基本通達の解説文があるのみで、これをもって、ただちに
宗教法人における住職の墓石の扱いも同様にするべきとは解釈しがたい。

この解説文から斟酌するにしても、「明らかに故人の遺族が負担すべきであると認められる費用は、これに該当しない」ということであれば、当方の解釈からすれば、歴代住職の墓は、「明らかに当山における公的な存在であり、故人の遺族が負担すべきものとは到底考えられない」のは、読者諸兄にあっても、同様の思いであろう。 どう考えても家族の墓とは別に特別の区画を設けて建てられている歴代住職の墓が、一般の個人墓と同等と考えることはできぬものである。

ところが、今回の回答では、「寺の教義ないし寺院規則により、歴代住職の埋葬および墓地の建立についての扱いが明確に謳われていること。あるいは、責任役員会ないし総代会等寺院の決議機関において、その旨の決定をしていること。」を認定の条件として示してきている。
通常、亡くなった先代住職のお骨を歴代の住職の墓に埋葬するのは、慣習化し、不文律として、当然のことと住職はじめ檀家一同疑問の余地のないところのものであるのは、誰もが首肯するところのものであろう。 それを敢えて、何故に教義とし、あるいは、寺院規則として明文化する必要があるのであろうか?  まして、当初から暗黙裡に決まっている周知のことをわざわざ寺の会議で決めて、その議事録を記録する必要があるのであろうか?

税法上「損金経理」という言葉があるが、これは、それをしないと損金として認めない旨の明文規定が法律条文として存在する。したがって、わが国が法治国家であり、税金については、租税法律主義という大前提が社会的に認知されている限りにおいて、宗教法人といえども、これは、遵守する義務があること当然である。 しかるに、何故に、基本通達にも示されていない行政庁たる当局の解釈をもって、損金算入の要件とされねばならないのであろうか?  もっとも、通達自体も国会において定められた法律・法令とは異なり、司法上絶対的なものではないことは、わが国の租税法の権威の多くが一致した見解である。

そもそも、租税法律主義とは、租税正義の適正な実現のため「法的安定性」と「予測可能性」を制度的に保障するものでなければならない。簡単にいえば、憲法第30条に規定される「国民の納税義務」は、納税者たる国民が、その義務たる納税を果たすには、法律的にも制度的にも、納税すべき根拠が公開され、いつでも容易に知ることができなければならないということである。

しかるに、当該納税のための大前提たる租税法律主義が、実際には、かように課税庁側に有利に機能していること自体、現行の租税行政は、制度的欠陥があると解さざるをえない。つぎにDついてであるが、すでに当初の現況調査の段階で担当調査官に同行した際、現場に壇信徒からの献花がされており、それが日常的に行なわれているのであるから、明らかに、他の個人墓とは異なる扱いとして、壇信徒が歴代住職の墓を位置付けている証であり、その意味で、信仰の対象となっているものとも解釈される。また、四十九日、三回忌、七回忌あるいは、盆・施餓鬼・彼岸の際、寺族・檀家総代を集めて、墓前において、供養が定期的かつ継続的におこなわれているのである。しかるに、統括官の説明では、「それは、壇信徒を含めて全山で行なわれなければならないものであり、少なくとも、関係者全員への告知が必要である。」との限定的解釈が披瀝された。 住職の説明によれば、「実際のところ物理的制約から、そこまでは、行なっていない。」とのことであった。

私見からすれば、仏教のみならずキリスト教や他の既存宗教においても、通常、神や仏といったこの世に存在しないものを信仰の対象としているのが常識であり、一体、住職や司祭といった宗教行事を司る者それ自身を信仰の対象とするのは、今流行の新興宗教ぐらいなのではなかろうか? 国税当局のいわんとするところは、宗教法人法に規定される「主たる事業の目的」として、当該、歴代の墓が宗教行為の対象であらねばならないという解釈がなされているようにも考えられる。しかし、元来、信仰の対象として拝むのは本尊であって、あくまで、歴代の墓はその付属物として、他の境内の施設と同様のものとも考えられる。本堂や庫裏、あるいは、宝物・什物などが、公益事業の対象であるのにひとり歴代の墓のみが、それらの宗教施設を構成するものから除外されなければならないのであろうか?  われわれ常識的な日本人として、理解するには、あまりに、こじつけがましい要件であるように筆者には理解されてならない。

担当統括官の説明によれば、「仮に不服審査なり、訴訟となった場合は、原告たる当方にこれらの要件に対して、挙証する責任がある。」旨の指摘があったが、これまでの論旨からして、果たして、そのような責任が、当方にあるものとは、到底解し得ない。税法の行政庁における解釈を示した通達には、「社会通念上相当とみとめられるときは・・・をみとめる。」との文言が頻繁に用いられている。これらは、いわゆる不確定概念であるとも考えられ、その解釈において、極めて曖昧な要素といえる。今回問題となった法人税基本通達にも同様の不確定概念が含まれていた。しかし、ここでは、「社会通念」とは何か、「相当と認める」のは誰なのか、明示されていない。

 一般的に解釈して、「社会通念」とは日本国における国民間でのいわゆる「常識」をさすものと思われる。したがって、それは、われわれの意
識の中に共通に存在する認識をさしているものであり、ひとり課税庁のお役人の意識の中にのみあるものではないことは明らかである。ましてや、
かような「社会通念」を課税庁が一方的に創造しうるものでないことは、自明のことといえよう。

今回は、当山住職の意向もあってか、合点のいかぬまま、とりあえず、不服審査請求ないし訴訟は断念せざるをえなかった。しかし、筆者個人としては、すでに述べたよう納税者の「予測可能性」が保障されず、交渉しても当方の意見もほとんど聞き入れることがなく、課税側の人間が不服審査を行ない、それがだめなら税務訴訟という納税者一個人が負担するには余りに過重な現行の租税制度自体こそ、小泉改革において、改めてもらいたいものである。このことは、相手方当事者である統括官からも聞かれた感想でもある。

最後に、読者諸兄には、今後の税務対策の一助となれば、幸いである。

<参考文献> 長谷川正浩著 「寺院運営の税務相談」(社)民事法情報センターコンメンタール「法人税基本通達」税務研究出版局税務相談事例集
 (財)大蔵財務協会 同族会社の税務調査対策 (財)大蔵財務協会金子宏著「租税法」轄O文堂 判例・裁決例 租税べんり事典 鰍ャょうせい 

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