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6.節税について                             HOME  トップページへ 次へ 



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1.「節税対策」の実態
かつて、バブル華やかなりし頃、税理士のみならずそれに纏わるあらゆる職種の人間が、「節税」を売り物に活動を行なっていました。保険会社の「節税」を売り物にした勧誘などはその典型例といえる。その実質は、大幅な黒字を保険商品に資産のシフトを行なうことにより、税の繰り延べをもって、初期の税額を軽減させるといった手法でした。あるいは、相続税対策・等価交換(?)などといった不動産業者のセールス・トークに乗せられて、なけなしの土地を売り渡し、あげく、債務返済不能・破産宣告といった憂き目にあった人たちも、少なくなかったように思われます。

特に、当局は、相続税などについて、次々と出される節税手法に逐次通達による規制を強化してきたという経緯もあることは税理士ならずともよく知られたことです。また、節税対策と称して、節税シュミレーションに踊らされた人も多いと聞きます・・・。

およそ、当事者としては、当時の税制・経済情勢を前提として、そうした行動をとったのでしょうが、今、そのことを思うに、こうした節税対策やら税務シュミレーションはあくまで、個別経済・・・「他の事情にして等しいかぎり」(経済学ではこれを 「セテブス・パリブス」といっています)・・・すなわち、その事例のなかでのみ有効な手段であるということです。「節税」ということを考える時、今の資本主義社会においては、市場は、不透明性・不確実性が前提として、存在するということを忘れてはならないということです。平成不況が続く今の時代、安易に、この言葉を口にするとしたら、ちょっと疑ってかかる必要があるかも知れません。

不況時には、黒字決算での節税対策よりも、赤字決算での資金対策を重点にした決算方針が重要であることはいうまでもありません。決算対策は、御社の置かれている内外の事情を考慮し、何が一番優先するのか・・・銀行融資を受けるか否か、取引先の信用を重視するか、節税・キャッシュ・フローを重視するかなど・・・プライオリティを判断した上で決めていくのが、本筋です。

2.「節税」と「租税回避行為」

「節税」・・・税理士というととかく本業の人たちも含めて、世間一般にそれが仕事であるという認識が圧倒的といって過言ではありません。しかし、税法を作る側・・・本当の意味での税の専門家からすれば、「節税」という専門用語などはないといいます。(元税務調査会委員言)「節税」とは、おおよそ、その意味で、世間一般向けの俗語ともいえます。

敢えて言えば、「納税者有利」あるいは「疑わしきは納税者の利益に=in dubio contrafiscumというのが本来の言い方です。(金子宏著「租税法」)

要は、税法というのは、元々、個々に選択肢が設けられています。それをどう選択するかは、納税者の自由であり、「納税者の有利に」選択適用が認められている・・・というのが、建前であるからです。したがって、税理士である我々が納税者に対し、そうした選択肢を説明する税理士法上義務があるのは当然であり、もって、それを謳い文句にするということ自体おかしなことでもあります。

また、「納税者が不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れている事実、不正に国税若しくは地方税の還付を受けている事実又は国税若しくは地方税の課税標準等の計算の基礎となるべき事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮装する行為」を「租税回避行為」といい、こうした行為を世間では、一般に「脱税」と呼んでいます。

こうした「租税回避行為」
「同族会社等の行為又は計算の否認」法人税法第百三十二条、所得税法第157条、相続税法第64条の各税法で、「 税務署長は、次に掲げる法人に係る法人税につき更正又は決定をする場合において、その法人の行為又は計算で、これを容認した場合には法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、その行為又は計算にかかわらず、税務署長の認めるところにより、その法人に係る法人税の課税標準若しくは欠損金額又は法人税の額を計算することができる。」として「否認」されるところとなっております。

過度の節税対策や通常考えられる以外の迂回的な処理方法については、伝家の宝刀であるこの規定によって、いとも簡単に否認されるところとなり、過少申告加算税又は無申告加算税に代えて35%若しくは40%の重加算税が賦課されますので、くれぐれもその点は踏まえて、節税対策を考える必要があります。

3.「租税正義」の実現
「租税正義」という言葉があります。わかり易く言えば、「国民に漏れなく、能力に応じて、かつ租税法規に従って正しい税金を納めること」です。税理士が納税者の言いなりになって、脱税に加担することを「脱税幇助(だつぜいほうじょ)」といい税理士法第三十六条で禁止されており、懲戒等の罰則規定があります。のみならず、国税犯則取締法により、刑事罰(第二十二条  国税ノ納税義務者ノ為スヘキ国税ノ課税標準ノ申告(当該申告ノ修正ヲ含ム以下申告ト称ス)ヲ為ササルコト若ハ虚偽ノ申告ヲ為スコト又ハ国税ノ徴収若ハ納付ヲ為ササルコトヲ煽動シタル者ハ三年以下ノ懲役又ハ二十万円以下ノ罰金ニ処ス 2 国税ノ納税義務者ノ為スヘキ申告ヲ為ササラシメ若ハ虚偽ノ申告ヲ為サシメ又ハ国税ノ徴収若ハ納付ヲ為ササラシムル目的ヲ以テ暴行又ハ脅迫ヲ加ヘタル者亦同シ )を受ける場合もあります。また、近時は、税理士に対する損害賠償請求事件(つまり民事訴訟)は、増加の一途です。

 既に「税理士の職責」でも、述べましたように、税理士法 第一条 (税理士の使命)には、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念 にそって、納税者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。」と謳われております。また、税理士法第36条(脱税相談の禁止)「税理士は、不正に国税もしくは地方税の賦課若しくは徴収を免れ、又は不正に国税若しくは地方税の還付を受けることにつき、指示をし、相談に応じ、その他これらに類似する行為をしてはならない。」、税理士法第41条の3(助言義務)「税理士は、税理士業務を行うに当たって、委嘱者が不正に国税若しくは地方税の賦課若しくは徴収を免れている事実、不正に国税若しくは地方税の還付を受けている事実又は国税若しくは地方税の課税標準等の計算の基礎となるべき事実の全部若しくは一部を隠ぺいし、若しくは仮想している事実があることを知ったときは、直ちに、その是正をするよう助言しなければならない。」からも、「租税回避行為」についてのご相談は、ご遠慮いただいております。

4.「納税者有利」と「グレーゾーン」

 しかし、税法には、法律や通達で規定されていないいわゆる「グレーゾーン」がありまます。納税者から見た場合、非課税であるとか、自分の都合のいい解釈で、節税を図ろうとするのは、人情であるし、税務には、「納税者有利」というように、そうした判断がはっきりしない場合は、法律的に許容された範囲において、納税者に有利に・・・「疑わしきは納税者の利益に」・・・法律解釈をし、適用をするということでもあり、法律を恣意的に解釈・適用したり、ましてや、仮装・隠蔽する「租税回避行為」とは一線を隔しているということです。いずれにしても、その点を良く見極めて納税者のために節税を図っていくことも税理士としての仕事でもあります。
 
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